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全熱交換器の熱交換素子について

パナソニックエコシステムズ春日井工場
パナソニックエコシステムズ春日井工場

先週、パナソニックエコシステムズの春日井工場に行ってきた。パナの換気扇部門。

 

換気扇と言えば三菱のイメージが強く、三菱で間違いないでしょとこれまでほぼ三菱換気扇を採用。

ところが、パイプファンの国内シェアはパナが1位だと聞いてびっくり。

換気扇のカバーからハネまで簡単に着脱でき、清掃しやすくなっていることが評価されているのかな。

気密ということに関しては電動シャッターが付いているものも。これも簡単に外せて清掃可能。

パイプファンはすでに差別化がしにくいところまで改良され尽くされていると思うので、これで決まり? 

もう一つ発見。全熱交換器。こちらの方もびっくり。

全熱交換は水分を移動するので一緒に汚染物質(臭気)も室内に戻してしまうことが短所と言われている。

そんな中”パナソニックは全熱交換”と大きくうたってアピールしている。

担当者に聞いてみたら、パナが開発した熱交換素子では水分は透しても臭気は通さないという説明。

臭気の分子の大きさが水より大きいから膜を通らないと言う。本当???

 

気になって調べていくとこんな論文に行き当たった。

https://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/ptj/pdf/v5602/p0113.pdf

https://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/ptj/pdf/v6201/p0107.pdf

 

この二つの論文を読むと、パナで開発されている熱交換素子の内容や全熱交換を推し進める様子が分かる。

 

熱交換素子は複数枚の湿度透過膜で構成されていて、その膜がガスバリア性(気体の透過を抑制する性質)、伝熱性、透湿性を有する。2010年の論文の方で、ガスバリア性について「給排気間の二酸化炭素の移動量を2%未満に抑えられる」と記述があることから、100%ではないと分かる。とすれば、二酸化炭素だけでなく臭気も移動するんじゃない?

 

2016年の論文の方は、熱交換素子の透湿度の向上により排気から給気へ回収する湿度量を増加させたので、排気の結露水凍結を防止でき、寒冷地まで全熱交換を推し進められるという内容になっている。

FY-23KBD
FY-23KBD

パナの言い分だけ聞くわけには行かない。

全熱交換についてこんなサイトに行き着いた。

http://www.jvma.jp/pg838.html

 

経済性の話は置いておく。

汚染物質や臭気のリターンはないというデータの開示がないので、信憑性に疑問を持たざるを得ないとの指摘。

ごもっともな意見。それ必要ですよね。

 

ん?待てよ。全熱交換器としての規格があるんじゃないかと思って調べると、ありました。

新JIS B8628:2017全熱交換器

2017年に改正され、JIS準拠なら内部および外部漏れの測定をし、有効換気量率の仕様書への表示が義務付けになっている!?

パナのカタログを見ると、前出のサイトで紹介されていたFY-23KBDの有効換気量率は94%とある。

しかし、これは内部漏れと外部漏れを計測し、合算して得られた数値から計算。

知りたいのは内部漏れがいかほどかということ。

 

前出のサイトにも書いてあったけど、そういうことか。

旧JIS B8628:2003全熱交換器

では、内部漏れのみ測定し有効換気量率の計算をするようになっていたが、仕様書への表示義務はなかった。つまり、かつては有効換気率がユーザーに知らされていなかった。

国際規格に準拠するよう見直した新JISでは、外部漏れも一緒にしてあるので内部漏れがどの程度かは分からないようになっている。メーカーに配慮し、不都合なことは出さなくていいようにしてあるんだろう。

ということで、メーカーの言うこと(パナが開発した熱交換素子では水分は透しても臭気は通さない)をそのまま信用する訳にはいかない。

 

 

ここまで興味があって書いてきたが、しかしながら、設計屋として全熱交換器を勧めることはないと思う。

ある程度高断熱高気密に寄って行っても、全館空調まで必要と思わないから。 

 

世の中はそっちへまっしぐらだが、私は住宅はほどほどにローテクでいいと思っている。